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えおきば

ある年の冬。ー例年に比べ寒さ厳しく、雪が深く積もった。植物は枯れ、川は凍る中、冬眠を控えた黒い毛の熊は最後の食糧さがしに森を探り回っていた…「ああ、腹が減った、このままでは冬眠どころかそのまえに腹が減っておれはしんでしまうだろう…ああ、腹が減った」
雪が降り出してからまだ食事にありつけていなかった黒い熊は足元がおぼつくほど飢えていた。結局その日も収穫はなく、枯れた茎をしゃぶりながら寝ぐらにもどると、敷きつめた枯葉の上にちょこんと木の実が。
「やあ、熊さん。さっき仲間とまだ枯れていない木の実をみつけたんだ。」森で凶暴と恐れられる黒い熊に話しかけてくる動物は、この小さな鼠だけだった。「またきみは、おれに会いにきて、…こわくないのかい。きみは小さいからおれはきみを一口でたべてしまうかもしれないんだよ。」そう独り言のようにつぶやく熊に鼠は笑いながらいった。「きみ!そりゃきみはぼくを一口にたべてしまえるさ。仲間もそれを心配して、きょうだってぼくをとめたさ。しかしね、ぼくはきみがそうするとはちっとも思わないのさ。なぜかって?そりゃきみ、きみはいつも木の実ばかりたべていたじゃないか。森できみを見かけるとみんな一目散ににげるが、そもそもほんとうに狩りをしてる様子はない、川にいっても水を飲むばっかりで魚をそのとがった爪で弾き飛ばすとこさえぼくはみたことないっていうんだ!」
熊はその風貌から恐れられ、いつも孤独だった。諦めてはいたもののさみしく、やはり友だちが欲しかった熊は狩りをやめ、木の実ばかりたべるようなった今年の春ごろから、この鼠はたびたび熊を訪れるようになっていた。

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